ハートアンドビューティは変わります!
家の中でも靴をはいたままで暮らす西洋人や中国人の生活は何かと便利で合理的に思えた。
海軍にいたときも、西洋式に艦内=室内で靴をはいていたから、復員間もなくの自宅新築に当たっては西洋式に家の中でも靴をはいたまま暮らそうと決意して、そういう設計の家を建てた。
構造は東西の両側を壁で支え、屋根スラブ(版)が載せてあるだけ。
間仕切りは自由に変更できる。
寝室の部分にはないが、床パネル暖房になっている。
便所は西洋式の腰掛け型便器、ビデとシャワーがある。
靴をはいたまま戸外、室内を往き来できるので、広い戸外がお天気のよい日は室内同様に利用でき、室内の狭さの緩和に役立った。
犬も、時にはガマガエルも室内に自由に入ってきた。
しかし、こうした完全な洋風の生活でも、何となく恋しいのがタタミである。
そこでつくったのが、この移動式タタミ。
タタミ約2畳を載せた台に車が付いて室内を時には戸外にも持ち出して、生活の便に使うこともできる。
内裏雛のすわっているのが、もともとタタミのプロトタイプ。
書の御座という。
親子の断絶や家族のコミュニケーション不足が論議されだして久しい。
家をつくるというのは単に部屋をつくることではなく、家族生活の容器をつくることであることは、もうおわかりいただけたはずだ。
繰り返すが、住宅は家族全体の容れ物であって、決して個人の容れ物ではない。
個人の容れ物だったらビジネスホテルの個室で十分だ。
しかし、現代住宅では個人と個室が対応する個人主義的なプランが宣伝されすぎた。
そのコミュニティ、家族のありかた自体に問題があることももちろんだが、住まいの構造にもその要因があることも確かだろう。
いま住まいの中で、壁あるいはドアというものは、親子の断絶のひとつの象徴としてある。
それは、ハードウェアとしてもソフトウェアの象徴としてあるわけであって、親子の断絶ができたからドアがついたのかもしれないし、ドアがついたから断絶したのかもしれない。
家相書に「屋根の上にペンペン草が生えたら、その家は衰亡する」と書いてある。
それはペンベン草が生えたから衰亡するのではなくて、ベンベン草が生えるような状態になっているから生えてくるということだ。
どちらが原因でどちらが結果ということはわからない。
だから、ひと間で一家全員が暮らしたら、親子の断絶が解消されるというわけでもなかろう。
それでも、家族には家族全員が集まれ、顔を合わせる共通の広場は必要である。
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